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【 2010年6月20日 】

川内倫子講演会「AILA-川内倫子のまなざし」【報告】

日時:2010年6月20日(日)午前11時00分~午後12時20分

場所:成安造形大学 聚英館3階 聚英ホール

6月20日、京都成安学園90周年記念事業として、成安女子短期大学の卒業生で写真家の川内倫子さんによる講演会『AILA』が行われ、同時に本学ギャラリー、アートサイトでは関西初となる個展が始まりました(会期は7月10日まで)。

川内さんは、2001年に写真集三部作『うたたね』、『花火』、『花子』を同時に発表し、翌年には写真界の芥川賞とよばれる第27回木村伊兵衛写真賞を受賞。それ以降も写真集の出版、展覧会開催など、国内外で活躍されておられます。

満室となった本学聚英ホールでの記念講演会では、まずご自身の一連の作品と、各地での展覧会会場の様子をプロジェクションで見せながら、エピソードや作品のテーマについて説明してくださいました。なかでも『AILA』は、川内さんが滋賀の実家で、家族の日常(祖父の死、甥の誕生をふくむ)を8年にわたって撮影した写真からまとめられたもので、タイトルの『AILA』はトルコ語で「大家族」を意味するそうです。

ひととおり作品についての話が終わると、今度は後輩やより若いアートを目指す人に向けて、成安在学中にどんなことを学び、それがいかに貴重な時間であったかを懐かしそうに語られました。この日はちょうどオープンキャンパス、川内さんの講演会を聞きに来学した高校生からは、作品のタイトルのつけ方について質問がありました。川内作品といえば日常の光景を優しい視線で捉え、正方形のフォーマットにおさめた淡い色調でプリントされたもの、写真を志す若い世代にとてもよく知られています。講演後アートサイトに移動した川内さんは、会場でさらにいくつかの質問に丁寧に答えておられました。

午後からは、特別に写真コースの3、4年生の作品の講評会をしていただきました。なかでも日常の風景を感性で撮る学生たち、つまり川内さんと近いタイプの作品の前で、彼女自身がありふれた私的なイメージをどう自分のオリジナルなものにしていくか、その方法を語ってくださいました。参加した学生は、どこかで川内作品の謎がとけたのか、充実した満足感に浸っているようでした。

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